Vässenzländisķ

文字と発音

単独字の発音

表記にはラテン文字を使用する。a–zの26文字に加え、いくつかのダイアクリティカルマークを用いる。

備考に特に何も書かれていなければ、ローマ字通りの発音でOK。

「発音例」の音声記号は、「音韻論」の項で詳しく説明している。

大文字 小文字 発音例 備考
A a /ɐ/, /ɑː/
Ä ä /ɛ(ː)/, /ə/ 少し広めの「エ」
Ą ą /ɔ̃/, /ɔ̃ː/ 鼻に息を通しながら「オ」。少し広め
Ą̈ ą̈ /ɛ̃(ː)/, /ə̃/ 鼻に息を通しながら「エ」
B b /b/, (/p/)
C c /k/, /s/, /t͡s/ etc. 借用語を除いては、下の重音字でしか基本用いられない
D d /d/, (/t/, /ɖ/)
Ð ð /ð/ 英語 thisth に近い
E e /e(ː)/, /ə/ ä より口を狭めた「エ」
Ę ę /ẽ(ː)/, /ə̃/ 鼻に息を通しながら eą̈ より狭い
F f /f/
G g /ɡ/, /ʑ/, (/k/) /ʑ/ は外来語に現れる
Ģ ģ /j/, /ɪ/, /iː/ j と同じ
H h /ɦ/
I i /ɪ/, /iː/
Į į /ẽ(ː)/ ę と同じ
J j /j/ ジャ行ではなくヤ行
K k /k/
Ķ ķ /ɕ/ 日本語のシャ行と大体同じ
L l /l/, (/ɭ/)
M m /m/, /˜/ 直前の母音を鼻母音化することがある
N n /n/, /˜/, (/ɲ/, /ɳ/, /ŋ/) 直前の母音を鼻母音化することがある
O o /ɔ/, /oː/
Ö ö /œ/, /øː/ 「オ」の口の形のまま「エ」と言う。ドイツ語の ö と大体同じ
Ǫ ǫ /ɔ̃/, /õː/ 長母音の時、ą より若干狭い。短母音の時同じ
Ǫ̈ ǫ̈ /œ̃/, /ø̃ː/ ö を鼻に息を通しながら発音する
P p /p/
Q q 基本 qu のセットで使われ、発音は /kʋ/kv と同じ
R r /ɽ/, /ɻ/ etc. 日本語のラ行子音に近いが、少し奥の方。詳しくは「音韻論」を参照のこと
S s /s/, (/ʂ/) 英語のようにザ行を表すことはほぼない
T t /t/, (/ʈ/)
U u /ʊ/, /uː/ 日本語の「ウ」よりも奥の方で唇をすぼめて発音する
Ü ü /ʏ/, /yː/ 「ウ」の口の形のまま「イ」と言う。ドイツ語の ü と大体同じ
Ų ų /ɔ̃/, /õː/ ǫ と同じ
Ų̈ ų̈ /œ̃/, /ø̃ː/ ǫ̈ と同じ
V v /ʋ/, /f/ 英語の v よりも摩擦が弱い。ワ行にも聞こえる
W w /ʋ/, /ʊ̯/ 借用語を除いては、下の重音字でしか基本用いられない
X x /ks/ ks と同じ。直前の母音は長い
Y y /ʏ/, /yː/ ü と同じ
/œ̃/, /ø̃ː/ ų̈ と同じ
Z z /z/, /s/

重音字の発音

いくつかの子音や母音は二文字以上の文字の組み合わせで表される。ここでは、そのようなものを重音字と呼んでいる。

文字 発音例 備考
pb /ʔ͡p/ 前声門化破裂音
td /ʔ͡t/
kg /ʔ͡k/
同じ子音字 × 2 直前の母音が短母音であることを表す。ただし mm, nn を除く
/ɬ/ l の口のまま、ヒャ行を言う感じ
/ʑ/ 大体日本語のジャ行と同じ
gh /x/ 喉の奥から勢いよくハ行を言う感じ。ドイツ語の ch などに近い
語末のmb /m/ bは読まない
語末のnd /n/ dは読まない
ng /ŋ/ ング。英語の ng とほぼ変わらない。/ŋɡ/ ではないので注意
nj /ɲ/ ニュ。フランス語の gn や日本語のニャ行とほぼ同じ
hv /f/, /xʋ/ 疑問詞によく出てくる。前者の方がより一般的
aa /ɑː/ 長い a と同じ
ąa /ɔ̃ː/ 鼻に息を通しながら aa と発音
ea, äa /ɛː/ 長い ä と同じ
ęa, ą̈a /ɛ̃ː/ 鼻に息を通しながら ea と発音
ee /eː/ 長い e と同じ
ęe /ẽː/ 鼻に息を通しながら ee と発音
ie /iː/ 長い i と同じ
įe /ẽː/ ęe と同じ
au /oː/ 長い o と同じ
ąu /õː/ 鼻に息を通しながら au と発音
eu, äu /øː/ 長い ö と同じ
ęu, ą̈u /ø̃ː/ 鼻に息を通しながら eu と発音
ou /uː/ 長い u と同じ
ǫu /õː/ ąu と同じ
ey, öu /yː/ 長い y と同じ
ey, ǫ̈u /ø̃ː/ ęu と同じ
ai /aɪ/ ひと息に「アイ」
ąi /ɐɲ/ anj と同じ
äi, ei, äģ, eģ /ɛɪ/ ひと息に「エイ」
ą̈i, ęi, ą̈ģ, ęģ /ɛɲ/ änj と同じ
aw /ɑʊ/ ひと息に「アウ」。au とは違うので注意
ąw /ɐŋ/ ang と同じ
ew, äw /joː/ 「エウ」ではなく「ヨー」。eu とは違うので注意
ęw, ą̈w /jõː/ 鼻に息を通しながら ew と発音
uy /œʏ/ 口をすぼめつつ「エイ」「ウイ」と言う感じ。オランダ語の ui とほぼ同じ
ųy /œɲ/ önj と同じ

鼻母音の表記について

基本は、「母音字 + m」or「母音字 + n」という綴りのとき、対応する鼻母音で読む。基本はそのままだが、下に示すように母音が変わるものもある。

表記 発音
an, am /ɔ̃(ː)/
in, im /ẽ(ː)/, /ə̃/
yn, ün, ym, üm /œ̃/, /ø̃ː/
un, um /ɔ̃/, /õː/

ただし、

  • nd, nt, nk, ng, mb, mp という綴りの場合
  • m, n の左右両隣が母音字である場合
  • mm, nn と二重に綴ってある場合

は鼻母音にはならず、普通に /Vm/, /Vn/, /Vŋ//V/ は任意の母音)などと読む。

例. lüvjan /ˈlyːʋjõː/(「愛する」原形不定詞) vs. tu lüvjenn /tʊ ˈlyːʋjən/(tu不定詞)

また、母音字にオゴネク(“˛” U+0328)が付いた場合、同様に鼻母音で読む。母音の変わり方は上と同様である。

なお、重音字の母音は後ろに m, n が来ても、鼻母音にはならない。重音字の鼻母音は1番目の母音にオゴネクをつけて表す(「重音字の発音」の項で示したように。)


その他事項

ドイツ語などのように語末子音が無声化することはなく、文字通りに発音する。

語形変化などによって有声子音の後に無声子音が来るときは、無声化する。/ʋ//f/ となる。

例. flewgan /ˈflɪɔɡõː/(「飛ぶ」原形不定詞)→ fljagst /flɪɐkst/(直説法過去2人称単数)

例2. draivan /ˈdɽaɪʋõː/(「運転する」原形不定詞)→ draivst /dɽaɪfst/(直説法現在2人称単数)

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