目次
備考
- 最高次係数は常に非零とする。
- 1の原始3乗根 e2πi/3=2−1+3i を ω とおく。
- 複素数 α を極座標形式で ∣α∣eiθ と表す。ただし、 θ は α の偏角であり、範囲は −π<θ≤π とする。このとき、根号 nα の値を n∣α∣eiθ/n と定義する。また α1/n の値も同様に定義する。
- 実数に対する冪根の定義とは値が異なる場合があることに注意。例えば正の実数 a に対する 3−a は −3a ではなく eπi/33a となる。
1次方程式
a1x+a0=0x=−a1a0
ただの式変形。特筆すべきことはない。
2次方程式
a2x2+a1x+a0=0
a2 で割り、平方完成する。
x2+a2a1x+a2a0=0(x+2a2a1)2−4a22a12+a2a0=0(x+2a2a1)2=4a22a12−4a0a2
平方根をとり、整理する。
x+2a2a1=±2a2a12−4a0a2x=2a2−a1±a12−4a0a2
3次方程式
a3x3+a2x2+a1x+a0=0
立方完成
a3 で割り、bk=a3ak (k=0,1,2) とおくと
x3+b2x2+b1x+b0=0
立方完成して、2次の項を消す。立方完成後の3次の項は (x+3b2)3 となるので、 x=t−3b2 と変換する。代入して整理すると
x3+b2x2+b1x+b0=0(t−3b2)3+b2(t−3b2)2+b1(t−3b2)+b0=0t3−b2t2+3b22t−27b23+b2(t2−32b2t+9b22)+b1(t−3b2)+b0=0t3+(b1−3b22)t+b0+272b23−3b1b2=0
が得られ
c0c1=b0+272b23−3b1b2=b1−3b22
とおけば、t3+c1t+c0=0 を得る。
c1=0 のときは立方根をとるだけで済み、また c0=0 のときは2次式以下に因数分解できるため、以降 c0=0, c1=0 とする。
Cardanoの解法
まず t=u+v とおく。すると
(u+v)3+c1(u+v)+c0=0u3+v3+3uv(u+v)+c1(u+v)+c0=0u3+v3+c0+(3uv+c1)(u+v)=0⋯(A)
ここで、(A) が成り立つためには、以下の2式が成立すれば十分である。
{u3+v3+c03uv+c1=0=0
変形して
⎩⎨⎧u3+v3u3v3=−c0=−(3c1)3
解と係数の関係より、 u3,v3 は以下の2次方程式の解になる。
s2+c0s−(3c1)3=0
これを解くと
s=−2c0±(2c0)2+(3c1)3
二つの解のうちいずれか一つを選んで u3 とする。ここでは符号が正の方を選ぶ。
u3=−2c0+(2c0)2+(3c1)3
立方根をとると
u=ωk3−2c0+(2c0)2+(3c1)3(k=0,1,2)
のように、3つの解が得られる。
uv=−3c1 より
v=−3uc1=−3c1ω−k(−2c0+(2c0)2+(3c1)3)−1/3(k=0,1,2)
よって、以下の三つの解が得られる。
t=u+v=ωk3−2c0+(2c0)2+(3c1)3−3c1ω−k(−2c0+(2c0)2+(3c1)3)−1/3(k=0,1,2)
よって a3x3+a2x2+a1x+a0=0 の解は
x=−3b2+t=−3b2+ωk3−2c0+(2c0)2+(3c1)3−3c1ω−k(−2c0+(2c0)2+(3c1)3)−1/3(k=0,1,2)
ただし
blc0c1=a3al (l=0,1,2)=b0+272b23−3b1b2=b1−3b22
である。
また、積と立方根の交換をしても値が保たれる場合、つまり
3−2c0+(2c0)2+(3c1)3×3−2c0−(2c0)2+(3c1)3=3(−2c0+(2c0)2+(3c1)3)(−2c0−(2c0)2+(3c1)3)
が成り立つときは
v=−33−c0/2+(c0/2)2+(c1/3)3c1ω−k=−33(−c0/2+(c0/2)2+(c1/3)3)(−c0/2−(c0/2)2+(c1/3)3)c1ω−k3−c0/2−(c0/2)2+(c1/3)3=−33(−c0/2)2−((c0/2)2+(c1/3)3)c1ω−k3−c0/2−(c0/2)2+(c1/3)3=−33−(c1/3)3c1ω−k3−2c0−(2c0)2+(3c1)3=−3−c13c1ω−k3−2c0−(2c0)2+(3c1)3
さらに c1 が負の実数であるなら、3−c13=−c1 が成立するので
v=−−c1c1ω−k3−2c0−(2c0)2+(3c1)3=ω−k3−2c0−(2c0)2+(3c1)3
と表せ、解を
x=−3b2+ωk3−2c0+(2c0)2+(3c1)3+ω−k3−2c0−(2c0)2+(3c1)3(k=0,1,2)
という形にできる。特に、c0,c1 が共に負の実数である場合、立方根の中身は共に正の実数か互いに共役な虚数となり、この形に変形できる。以下軽く理由を説明する。
立方根は偏角を1/3倍し、複素共役は-1倍する。これらの操作をどの順で適用しても、範囲 (−π,π] の外に偏角の値がはみ出ることはない。正確には偏角が π のとき、複素共役をとる操作で範囲をはみ出るが、これは負の実数であるので条件に合致しない。つまり、α が正の実数あるいは虚数であるとき、3α=3α が成り立つ。
よって
3α3α=3α3α=∣3α∣2=3∣α∣2=3αα
となり、立方根と積を交換しても等しいことが分かる。
還元不能 (casus irreducibilis)
以下 c0,c1 を実数とする。
上の (2c0)2+(3c1)3 の値が負のとき、u3,v3 は虚数となる。不等式を立てて変形すると
(2c0)2+(3c1)327c02+4c13−4c13−27c02<0<0>0
である。
また、3次方程式 a3x3+a2x2+a1x+a0=0 の判別式 Δ は
Δ=−4a13a3+a12a22−4a0a23+18a0a1a2a3−27a02a32
である。これに a0=c0, a1=c1, a2=0, a3=1 を代入すると
Δ=−4c13−27c02
つまり u3,v3 が虚数であることと、Δ>0 すなわち3次方程式が3つの実数解をもつことは、実は同値なのである。さらに3次方程式が既約な場合、虚数を避けて代数的に解を書き下すことはできないことが分かっており、これを 還元不能 (casus irreducibilis) という。
Vièteの解法
代数的な解法に拘らなければ、Δ>0 の場合に虚数を避けることもできる。立方完成までは同じなので t3+c1t+c0=0 の形から始める。
c0,c1 を 0 ではない実数とし Δ>0 とする。またこのとき c1<0 である。なぜなら c1>0 であれば Δ=−4c13−27c02<0 となるため。
cos の3倍角の公式 cos3θ=4cos3θ−3cosθ を変形して
cos3θ−43cosθ−41cos3θ=0
3次方程式をこの変形3倍角の公式が使える形に持っていきたい。そのために A をある 0 でない複素数(値は後で求める)として t=Acosθ とおき代入する。
(Acosθ)3+c1Acosθ+c0=0cos3θ+A2c1cosθ+A3c0=0
変形3倍角の公式と係数を比較して
A2c1A3c0=−43=−41cos3θ
1つ目の式から A=±2−3c1 が求められる。符号はどちらでも良いのでここでは正の方をとる。
cos3θ=−A34c0=−4c0×81(−c13)−c13=2c1−c133c0
cos の逆関数で値域を [0,π] に制限したものを Cos−1 とすると、θ は
3θθ=±Cos−12c1−c133c0+2kπ=±31Cos−12c1−c133c0+32kπ(k∈Z)
と求められる。
ここで Cos−1 の定義域は [−1,1] なので、2c1−c133c0 がこの範囲内になるのかの確認が必要だが、Δ=−4c13−27c02>0 より 0<27c02<4(−c1)3 がわかり、したがって
0<4(−c1)327c02<1
また
(2c1−c133c0)2=4(−c1)327c02
であるので、−1<2c1−c133c0<1 であることが分かる。
さて、上で求めた θ は無限個あるが、cos の周期性と偶関数性から、複数の θ が同じ t の値に対応する。そのような重複する θ を除きつつ、 t=Acosθ を求めると次の三つになる。
t=2−3c1cos(31Cos−12c1−c133c0+32kπ)(k=0,1,2)
よって a3x3+a2x2+a1x+a0=0 の解は
x=−3b2+t=−3b2+2−3c1cos(31Cos−12c1−c133c0+32kπ)(k=0,1,2)
ただし
blc0c1=a3al (l=0,1,2)=b0+272b23−3b1b2=b1−3b22
例
次の3次方程式を解いてみる。
x3−6x2+3x+6=0
x=t+2 とおいて2次の項を消す。
((t+2)3−6(t+2)2+3(t+2)+6=0t3+6t2+12t+8)−6(t2+4t+4)+3(t+2)+6=0t3+12t+8−24t−24+3t+6+6=0t3−9t−4=0
まずCardanoの解法で解いてみる。
t=u+v とおいて整理。
(u+v)3−9(u+v)−4=0u3+v3−4+(3uv−9)(u+v)=0
よって
{u3+v3−43uv−9=0=0
が成り立てば十分。変形して
{u3+v3u3v3=4=27
よって u3,v3 は 2次方程式 s2−4s+27=0 の解になる。これを解いて
s=2±(−2)2−27=2±i23
二つある内のどちらか片方を u3 とする。ここでは符号が正の方を選ぶ。
u3=2+i23
よって
u=ωk32+i23(k=0,1,2)
uv=3 より
v=u3=32+i233ω−k(k=0,1,2)
分母分子に 32−i23 をかける。2+i23 と 2−i23 は互いに共役な虚数であるので
32+i2332−i23=3(2+i23)(2−i23)=327=3
が成立する。よって
v=32+i2332−i233ω−k32−i23=33ω−k32−i23=ω−k32−i23(k=0,1,2)
したがって t は以下のように表せる。
t=ωk32+i23+ω−k32−i23(k=0,1,2)
よって x3−6x2+3x+6=0 の解は
x=2+ωk32+i23+ω−k32−i23(k=0,1,2)
である。3つの解は全て実数であるが、この式から虚数単位 i を除去することはできない(還元不能)。
Vièteの解法でも求めてみる。t=Acosθ とおいて代入。
(Acosθ)3−9Acosθ−4=0cos3θ−A29cosθ−A34=0
cos3θ−43cosθ−41cos3θ=0 と係数比較して
−A29−A34=−43=−41cos3θ
よって1つ目の式より A=±23 である。ここでは正の方を採用する。2つ目に代入して
cos3θ=A316=8⋅3316=923t=23cos(31Cos−1923+32kπ)(k=0,1,2)
よって x3−6x2+3x+6=0 の解は
x=2+23cos(31Cos−1923+32kπ)(k=0,1,2)
である。
4次方程式
a4x4+a3x3+a2x2+a1x+a0=0
3次の項の消去
まず a4 で割り、bk=a4ak (k=0,1,2,3) とおくと
x4+b3x3+b2x2+b1x+b0=0
3次方程式と同様の方法で3次の項を消す。4次の項は (x+4b3)4 となるので x=t−4b3 と変換する。代入して整理すると
x4+b3x3+b2x2+b1x+b0=0(t−4b3)4+b3(t−4b3)3+b2(t−4b3)2+b1(t−4b3)+b0=0t4−b3t3+83b32t2−16b33t+256b34+b3(t3−43b3t2+163b32t−64b33)+b2(t2−2b3t+16b32)+b1(t−4b3)+b0=0t4+(b2−83b32)t2+(b1+8b33−2b2b3)t+b0−2563b34+16b2b32−4b1b3=0
となり
c0c1c2=b0−2563b34+16b2b32−4b1b3=b1+8b33−2b2b3=b2−83b32
とおけば、t4+c2t2+c1t+c0=0 を得る。c1=0 のときは複二次式になり、また c0=0 のときは3次式以下に因数分解できるので、以降 c0=0, c1=0 とする。
Ferrariの解法
λ をある複素数(値は後で求める)として、2λt2+λ2−2λt2−λ2 を加える。t4+2λt2+λ2=(t2+λ)2 であることを使って変形すると
t4+2λt2+λ2−2λt2−λ2+c2t2+c1t+c0=0(t2+λ)2+(c2−2λ)t2+c1t+c0−λ2=0(t2+λ)2−{(2λ−c2)t2−c1t+λ2−c0}=0
ここで、左辺が (2乗) - (2乗) の形になれば、左辺は二つの2次式に因数分解出来て2次方程式に帰着できる。よって第2項 (2λ−c2)t2−c1t+λ2−c0 が完全平方になるように λ の値を決める。これは2次方程式 (2λ−c2)t2−c1t+λ2−c0=0 が重解をもつこと、またその判別式が0であることと同値。判別式を Δ とすると
Δ=(−c1)2−4(2λ−c2)(λ2−c0)=−4(2λ3−c2λ2−2c0λ+c0c2)+c12=−8λ3+4c2λ2+8c0λ−4c0c2+c12
であるので、λ は3次方程式
8λ3−4c2λ2−8c0λ+4c0c2−c12=0
を満たす。これを解いて λ を求める。
2次方程式 ax2+bx+c=0 が重解をもつとき
ax2+bx+c=a(x+2ab)2=(ax+2ab)2
と変形できる。よって第2項は
(2λ−c2)t2−c1t+λ2−c0=(2λ−c2t−22λ−c2c1)2
である。
d1d2=2λ−c2=−2d1c1
とおけば、4次方程式は
{(t2+λ)2−{(2λ−c2)t2−c1t+λ2−c0}=0(t2+λ)2−(d1t+d2)2=0(t2+λ)+(d1t+d2)}{(t2+λ)−(d1t+d2)}=0(t2+d1t+d2+λ)(t2−d1t−d2+λ)=0
と分解できる。t2+d1t+d2+λ=0 の解は
t=−2d1±4d12−d2−λ
t2−d1t−d2+λ=0 の解も同様に求めて
t=2d1±4d12+d2−λ
よって a4x4+a3x3+a2x2+a1x+a0=0 の解は
x=−2d1−4b3±4d12−d2−λ,2d1−4b3±4d12+d2−λ
ただし、λ は3次方程式 8λ3−4c2λ2−8c0λ+4c0c2−c12=0 の解であり、また
blc0c1c2d1d2=a4al (l=0,1,2,3)=b0−2563b34+16b2b32−4b1b3=b1+8b33−2b2b3=b2−83b32=2λ−c2=−2d1c1
である。
例
次の4次方程式を解いてみる。
x4−4x3−18x2+16x+2=0
x=t+1 とおいて3次の項を消す。
((t+1)4−4(t+1)3−18(t+1)2+16(t+1)+2=0t4+4t3+6t2+4t+1)−4(t3+3t2+3t+1)−18(t2+2t+1)+16(t+1)+2=0t4+6t2+4t+1−12t2−12t−4−18t2−36t−18+16t+16+2=0t4−24t2−28t−3=0
λ2+2λt2−λ2−2λt2 を加えて整理する。
t4+2λt2+λ2−24t2−2λt2−28t−λ2−3=0(t2+λ)2−(2λ+24)t2−28t−λ2−3=0(t2+λ)2−{(2λ+24)t2+28t+λ2+3}=0
これの第2項が完全平方になればよい。t についての2次方程式 (2λ+24)t2+28t+λ2+3=0 の判別式を Δ とおくと
Δ=142−(2λ+24)(λ2+3)=196−(2λ3+6λ+24λ2+72)=−2λ3−24λ2−6λ+124=−2(λ3+12λ2+3λ−62)
よって λ は3次方程式 λ3+12λ2+3λ−62=0 を満たす。
解を一つ(がんばって)探すと、λ=2 が解になる事が分かる。よって、元の4次方程式は
{(t2+λ)2−{(2λ+24)t2+28t+λ2+3}=0(t2+2)2−(28t2+28t+7)=0(t2+2)2−7(2t+1)2=0(t2+2)−7(2t+1)}{(t2+2)+7(2t+1)}=0(t2−27t+2−7)(t2+27t+2+7)=0
と因数分解できる。t2−27t+2−7=0 の解は
t=7±5+7
t2+27t+2+7=0 の解も同様に求めると
t=−7±5−7
よって x4−4x3−18x2+16x+2=0 の解は
x=11+7±5+7,−7±5−7
である。
5次方程式
皆さんご存知の通り、5次以降の方程式には任意の方程式に対して使える代数的解法は存在しない。だが代数的解法に拘らなければ解く方法はある。楕円モジュラー関数を使う方法・正20面体方程式を使う方法・超冪根を用いる方法などがある。
工事中……