アクセントの詳細

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アクセントについての細則をまとめている。

なおこのアクセント規則は教育ローマ字の影響を強く受けている。というかほぼ同じである。

名詞

最後のnFモーラがある母音に対し鋭アクセント (ˊ) を付与する。
平板型の場合は単語の右側に Modifier Letter Vertical Line (ˈ) を置くが、助詞が付く場合その最初のモーラに鋭アクセントを付け、置いた Modifier Letter Vertical Line は消す。

例.
hasiˈ
hasí
hási
端が hasigá
橋が hasíga
箸が hásiga

AP境界

一単語で綴られる単語でも間にAP境界がある場合は、Modifier Letter End Low Tone (˼) を使って示す。

例.
我が国 wága˼kuniˈ
反復横跳び hánḧǔkuyǫ́kǫtǫbi
反復横跳び(著者のアクセント, 非標準的) hánḧǔku˼yǫkǫtǫbiˈ

境界下降

一部のAP境界においては境界下降と呼ばれる急激なピッチ下降がみられる場合がある。そのような場所では Modifier Letter End High Tone (˺) を使って示す。

例.
月に千円 tǔkį́ni sénwen
月二千円 tǔkį́˺ nisenwenˈ

鈍アクセント

「の(nǫ̀)」や「から(karà)」などの鈍アクセント (ˋ) 付きの助詞が付くとアクセントが変形する場合がある。
正確には以下の条件 (A) を満たす場合である。

条件 (A) を満たすときは元の位置の鋭アクセントと鈍アクセントを入れ替える。(変形ということにする)
接尾辞由来の変形していない鈍アクセントと語幹由来の鋭アクセントの位置が一致した場合、サーカムフレックス (ˆ) になる。
鈍アクセントを単独で示すときは、Modifier Letter Low Vertical Line (ˌ) を使う。

単語 要素 鈍アクセント変形後 最終的な終ロ表記 備考
橋の hasí + nǫ̀ hasì + nǫ́ hasìnǫ́ 1モーラ以内なので (A) を満たす
端の hasiˈ + nǫ̀ - hasinǫ̂ 鋭アクセントと鈍アクセントの位置が一致
木の kį́ + nǫ̀ - kį́nǫ̀ 1モーラ以内だが語幹の左端なので (A) を満たさない
扉から tobiraˈ + karà tobiraˌ + kará tobirakàrá (A) を満たす
女から womná + karà - womnákarà

「昨日」類

※詳しくはこちらを参照。

「昨日」類は例外的に長母音を表す二重母音字の後ろやmoraic nasalに鋭アクセントを付ける。
発音上は前の核の部分にアクセントが来る。

例.
昨日 kinǫĥú
昨日は kinǫĥúĥa
昨日の kinǫĥùnǫ́
日本 nihoń

動詞

語幹のアクセント

過去形接辞の「ta」が付いた形のを語幹のデフォルトのアクセントとする。

単語 終ロ表記 語幹の終ロ表記
貸した kasǐtá kasˈ
勝った kátta kát
負けた makętá makęˈ
盗み見た nusumimíta nusumimí
食べた tábęta tábę

接尾辞

現在形接尾辞「-ˈ(r)u」は一つ前のモーラに鋭アクセントを付与する。
語幹由来の鋭アクセントと重複するならば、消える。
一番右側にある鋭アクセントだけが機能し、それ以外の鋭アクセントは無視される。

単語 終ロ表記 備考
貸す kású 語幹由来の鋭アクセントの方が右側
勝つ kátu 鋭アクセントが重複
負ける makę́rú 語幹由来の鋭アクセントの方が右側
盗み見る nusumimíru 鋭アクセントが重複
食べる tábę́ru 接尾辞由来の鋭アクセントの方が右側

勧誘・意志接尾辞「-(y)ám̆」はそれぞれ a に鋭アクセントが来る。この例ではもとのアクセントより前に来ることはない。

単語 終ロ表記 備考
貸そう kasám̆ 鋭アクセントが重複
勝とう kátám̆ 接尾辞由来の鋭アクセントの方が右側
負けよう makęyám̆ 鋭アクセントが重複
盗み見よう nusumimíyám̆ 接尾辞由来の鋭アクセントの方が右側
食べよう tábęyám̆ 接尾辞由来の鋭アクセントの方が右側

鈍アクセント

否定接尾辞「-(á)naġì」のように、鈍アクセント付きの接尾辞が付く場合、上に挙げた条件 (A) をみたすなら、名詞の時と同様にアクセントが変形する。
接尾辞が一段動詞につくときに母音が脱落する場合、その母音に付いていたアクセントは語幹に「食い込む」。

単語 要素 鈍アクセント変形後 アクセント移動後 最終的な終ロ表記 備考
貸さない kasˈ + -(á)naġì kasˌ + -(á)naġí - kasânaġí 語幹末なので (A) を満たす
勝たない kát + -(á)naġì - - kátánaġì 接尾辞由来の鋭アクセントの方が右側
負けない makęˈ + -ˈnaġì makęˌ + -ˈnaġí makę̀ + -ˈnaġí makę̂naġí 語幹末なので (A) を満たす
盗み見ない nusumimí + -ˈnaġì - - nusumimínaġì 鋭アクセントが重複
食べない tábę + -ˈnaġì - - tábę́naġì 接尾辞由来の鋭アクセントの方が右側

アクセント移動

アクセントが右端にある一段動詞に、「-(i)ĥa˼sinaġí」のような五段動詞では母音が入るタイプの接辞が付くとき、動詞のアクセントが1モーラ左にずれる。

単語 要素 鈍アクセント変形後 アクセント移動後 最終的な終ロ表記
負けはしない makęˈ + -ĥa˼sinaġí - makę́ + -ĥa˼sinaġí makę́ĥa˼sinaġí
食べはしない tábę + -ĥa˼sinaġí - - tábęĥa˼sinaġí

形容詞

語幹のアクセント

「く」が付く形を基本とする。

単語 終ロ表記 語幹の終ロ表記
赤く akakú akaˈ
濃く kóku
青く áwoku áwo